出生前診断については、「羊水検査」と、「クアトロテスト」の2種類がございます。
医師の話を聞きたい方や、検査希望がある方は、妊娠12週までに担当医師へご相談ください。
妊婦さんから採血した血液中の4つの成分を測定して、胎児がダウン症候群、18トリソミー、開放性神経管奇形である確率を算出するスクリーニング検査です。
クアトロテストは、胎児が対象の疾患に罹患している確率を算出するスクリーニング検査です。
確定診断である羊水検査や、より正確な情報を得るための画像診断の必要性を考慮する材料になります。クアトロテストは、妊婦さん一人ひとりの確立を算出します。さらに、基準となる確率(カットオフ値)より高い場合はスクリーニング陽性、低い場合はスクリーニング陰性と報告されます。クアトロテストを受ける前には、医師にご相談の上、説明を受けてください。
ダウン症候群(21トリソミー)、18トリソミー、開放性神経奇形です。
ダウン症候群とは
ダウン症候群は、主に21番目の染色体が3本あることにより生じます。知的発達や運動能力の発達に遅れが見られます。病気にかかりやすく、心臓や内臓の病気を合併する可能性が高くなることが知られています。これらの合併症は治療が可能です。出生後、合併症を早期に見つけ、適切な治療を行うことが重要です。家族の積極的な関わりや専門家によるサポートのもとで早期からの療育や、特別に配慮された教育により、成人して社会生活を営むことも可能になりつつあります。
18トリソミーとは
18トリソミーは、18番目の染色体が3本あることにより生じます。多くの場合に主に心臓の形に変化が見られ、胎児がお腹にいる時期から目立った発達の遅れがあります。知的発達の障害は重度とされます。最近では、積極的な治療などで5~10歳ごろまでゆっくり発育・発達される方もいます。
開放性神経管奇形
妊娠初期に形成される胎児の神経管が正常に形成されないために、胎児の脳や脊髄に障害が起きている状態です。二分脊髄(脊髄が正常に形成されない場合)や無脳症(頭蓋骨が正常に形成されないために、脳が発達しない場合)があげられます。
妊婦さんから少量の血液を採取し、血液中の4つの成分(AFP、hCG、ue3、Inhibin A)を測定します。これらは妊娠中に胎児または胎盤で作られる成分です。これらの成分の値は、妊娠が進むにつれて増減しますが、胎児が検査の対象疾患であることによっても増減します。 クアトロテストは、年齢と4つの成分の値、および下の図のような因子を用いて、胎児がそれぞれの疾患であるかどうかについて、妊婦さん一人ひとりの確率を算出します。
妊婦さんの年齢が高くなるほど、ダウン症候群や18トリソミーの赤ちゃんが生まれる頻度が高くなります。クアトロテストは、母体年齢に固有の確率をもとに妊婦さん一人ひとりの確率を計算しているため、年齢の高い妊婦さんほどクアトロテストの検査結果の確率が高くなる傾向があります。
羊水中に含まれる胎児の細胞を用いて、胎児の染色体を調べる検査です。
胎児は羊水のなかに浮いていますので、羊水中には胎児の細胞が含まれています。この羊水を採取することにより、胎児に染色体の変化「染色体異常」があるかどうかを調べることができます。
ただし、羊水検査で診断できるのは染色体や遺伝子など、特定の異常に限られており、全ての異常が発見できるわけではありません。
妊婦さんの腹部に細い針を刺して羊水を採取します。この手技を「羊水穿刺」と呼びます。
羊水を採取する前に、超音波検査を実施して胎盤の位置や羊水量などのほか、胎児の位置や姿勢などを確認します。羊水穿刺中も超音波で穿刺針の先端の位置が羊水中にあるかどうかを確認します。羊水穿刺後にも超音波検査を実施して、胎児の状態に異常がないことを確認します。
詳しくは、担当医にご確認ください。
羊水穿刺の安全性
羊水染色体分析は、1960年代後半から実施されている検査で、これまで多くの妊婦さんが受けています。
しかし、羊水を採取する際に腹部に細い針を刺しますので危険が全くないわけではありません。羊水穿刺の合併症としては、流産、破水、出血、腹痛、子宮内感染、胎児の受傷、早産などがあります。適切な処置で対応できる場合がほとんどですが、最終的に流産や胎児死亡に至ることもあり、その確立は、0.2%~0.3%(1/300~1/500)といわれています。
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